ひろぎん証券株式会社
株式を中心とした取引から、資産管理型ビジネスへの移行を加速させた成功例
記事掲載日:2024年01月24日
- 金融
- 101-500名
- 既存顧客向け
- 顧客タッチ数の増加
- 人手不足解消
- リードタイム短縮
- 売上UP・商談数UP
ひろぎんホールディングス傘下の地域密着型証券会社として、質の高い金融商品・サービスを提供。投資に関するお客様の知識、経験、財産、目的などに合った提案を続けるひろぎん証券は、日々の営業活動においてベルフェイスをご活用いただいております。なぜベルフェイスを導入することになったのか、そしてどのような成果を実感しているのか。導入を推進したキーマンと、実際に現場でベルフェイスを活用するご担当者にインタビュー。導入から運用に至るまでの経験と感想、そして今後の活用法についてお聞きしました。
ひろぎんグループの一員としてお客様の資産形成・資産運用ニーズに対応
まず、ひろぎん証券の業務概要、および特徴を教えていただけますか。
水原:元々は、地場の証券会社として発展を続けてきましたが、2008年から広島銀行、リース会社などで構成されているひろぎんグループの一員となりました。広島銀行は、法人、個人のお客様の融資や預金の取り扱いをするグループの中核企業ですが、私どもは銀証連携を強化するなか、銀行のお客様で資産運用が必要な方をご紹介いただいています。お客様本位の業務運営方針に基づき、お客様のニーズや、将来どのようなことをお考えかを含めてヒアリングし、ご提案をしています。
地場証券時代と、ホールディングスに参画してからでは、お客様の層に変化はございましたか。
水原:現時点では、地場証券時代からお付き合いのあるお客様が相対的に多いのですが、おそらくこの数年以内にはそれが逆転すると予想されます。まさに広島銀行のお客様が、私どものメインのお客様となりつつある状況です。その二つの客層には大きな傾向の違いがあります。元々の地場証券時代は、主に株で資産を運用されるお客様が多くいらっしゃいました。一方の広島銀行のお客様については、元々銀行のお客様ということもあり、資産をどこかで運用されている預金者の方もいらっしゃれば、今まで資産運用をされたことがない方もいらっしゃいます。私どもはこうした「資産形成層」「初心者層」のお客様の資産運用と管理のお手伝いもしています。
その「資産形成層」「初心者層」が拡大しているということですね。
水原:まさに地場証券と、地銀系証券の違いはそこにあります。盤石なお客様基盤を有している銀行と同じグループに属しているので、そのようなお客様がまだまだたくさんいらっしゃいます。貯蓄から資産形成へと流れが強まっている時代において、まさに銀行と証券が一体となってお客様に価値を提供していく大きな責任を担っていると感じています。
営業スタイルも大きく変わっていくのですね。
水原:地場証券時代は、先ほど申し上げた通り株をお取引されるお客様が多かったです。すなわち元々、資産運用には、それなりに長けているお客様が多くいらっしゃったということです。地場証券時代の株のご提案には、プロダクトアウト的なものも多かったかも知れません。いきなり「A社の株価がですね……」からはじまり、それぞれの営業員の経験とノウハウに基づいて個別銘柄をご紹介し、そこから取引を進めていったこともあるでしょう。
一方で、銀行のお客様の資産形成層は取引に対する経験も浅く、知見も豊富ではない方もいらっしゃいます。そのようなお客様に、個別株の提案から入るというのは、現実的ではありませんよね。そうではなく、今は中長期的にお客様の資産を増やしていただく「資産管理型ビジネス」を中心にご提案し、ひろぎんグループの一員としての役割を担っています。現在は、投資信託の中でも安定した長期の資産運用ができる商品をお客様の属性、ニーズを確認しながらご提案していく営業スタイルに変わりつつあります。それこそ営業員の独自の判断で株を売るような時代ではなく、従来型のコミュニケーションの質と営業員の知識レベルも変わらざるを得ない状況にあります。
もちろん長くお付き合いをいただき、従来型のコミュニケーションで売買をしているお客様もたくさんいらっしゃいますので、すべて否定するつもりはありません。ただ先ほど申し上げたように、数年後にはそのようなお客様と仲介のお客様が逆転します。今はその過渡期にありますから、私どもの営業スタイルも変えていかなければならないということです。
ベルフェイスを導入する以前は、どのようなフローで営業をされていたのでしょうか。
小野:紙媒体を中心に営業活動を実施していました。5年程前にタブレットを導入しましたが、それも“このままではまずい”という危機感があってのこと。現時点におけるお客様の資産状況を画面上で確認できるようにしましたが、基本的にはお客様の元に訪問し、お話をするというスタイルに変わりはありませんでした。ただ、それまでは営業員がお客様の資産状況を社内で確認し、すべて頭の中に情報を入れて話をするという属人的な仕事だったものを、タブレットによって営業員が保有する情報レベルの均一化が図れるようになりました。
星野:もちろん、すべてのお客様に訪問対応することはやはり難しいです。頻繁にお取引いただいているお客様には、基本的には電話でお話をして、月に1~2回程のペースで訪問をします。株を中心に売買しているお客様については即時対応が基本ですので電話でお話をし、訪問時には資料やレポートを見ていただきながら報告をするという流れになります。
コロナ前からデジタル活用を進めていた
ベルフェイス導入のきっかけを教えてください。
水原:ひろぎんグループでは、コロナ前からデジタル活用を進めていました。なかでも我々ひろぎん証券は、デジタル化が一番進んでいるグループ企業の一つと自認しています。例えば、営業推進の場面において、お客様をセグメント分けして管理する必要があるため、いち早くAI分析を活用してきました。もちろん管理ツールも、先ほど申し上げたようにタブレットで運用していますし、元々コンプライアンスを重視しているので、お客様との会話もすべて通話録音しています。
また効率化、お客様の利便性向上の観点から、投資信託を販売したときの目論見書や、事前交付の書類をデジタルでお渡ししています。
さらにお客様への提案資料はすべてタブレットでご覧いただけるようにしています。このように“入口から出口まですべてデジタルを活用しましょう”という方針のもと、お客様の利便性や、お客様本位の業務運営に基づいたツール選定を進めるなかでベルフェイスにたどり着きました。
ベルフェイスを活用すれば、デジタル化が進むことになり、業務のプロセスが大きく変わっていきます。それが実現できるツールと見込んで検討を開始しました。
業務フロー全体のデジタル化を進めるなか、対面という重要な業務を担うツールとしてベルフェイスをご認識いただいたと思いますが、比較検討される上で、何が決め手になったのでしょうか。
小野:書類を画面共有し、その書類をお客様に電子交付できる点が最大の選択ポイントでした。似たようなツールがあるなかでベルフェイスは、他の金融機関で導入されている実績が多数あります。またベルフェイスは電話回線を利用するので、安定した接続ができるという点にも注目しました。以前、別のテレビ会議システムを活用したときに、ブツブツと音が切れて困った経験があったので、それは避けたいと思ったのですね。さらに弊社では、もともと電話の通話録音をしていたので、記録が残るということも利点でした。
検討段階において、トライアルとして実際に2カ店で使ってみることにしました。ただ地方という土地柄なのかもしれませんが、最初は営業員が使おうとしても、「お客様がITに馴染みがなく、慣れていないのでなかなか使えない」という声がありました。
そのような現場の声があるなかで実際にベルフェイスを導入したわけですが、どのように定着化を進めていったのでしょうか。
小野:まずは、電子化を進める金融庁の方針と歩調を合わせ、目論見書の電子交付にベルフェイスが活用できるという認識が営業員の間に広まったことがきっかけとなりました。そして業績評価のなかに「効率化」という項目を追加し、ベルフェイスを使った電子交付、もしくは電子サインで書類を受け入れることでインセンティブが発生する制度を作り、営業員に対する動機づけを行いました。
水原:さらにベルフェイスさんのご協力を得て、全店で研修会を実施し、使い方を周知しました。ただ使い方を周知できても、目的をしっかり把握してもらわなければ使いません。目的を共有するためには、業務プロセスのなかに組み込もうと考え、「デジタルを活用し、業務プロセスそのものを見直していきましょう」と発信していきました。すなわち”ベルフェイス単体で考えるのではなく、提案のところから、最後の約定の段階まで、デジタル活用を前提とした業務プロセスに変えていこう”と考えたということです。もちろん課題もたくさんあるので、一つひとつ解決しながらではありますが、2024年からプロセス変革に着手する予定です。業務プロセスのなかにうまく組み込んでいけば、ベルフェイス活用は間違いなく浸透していきます。
先ほども申し上げたように、プロダクトアウト的な提案が主流だった時代から、資産管理型ビジネスの時代に変わってきています。加えて、銀行からの仲介のお客様、資産形成層のお客様が増えてきて、投資信託をきちんとご提案していきましょうという流れになってきています。投資信託をご提案しようとすると、商品もたくさんありますし、さらにお客様の様々な背景や特性、目的まで把握しないといけません。それを実現するために私どもが旗を振っているだけではなく、しっかりツールも用意し、目的も深く浸透させて、プロセスも変え、インセンティブもそれに合わせて設けるという、抜本的な変革を進めている段階です。
一気にではなく、少しずつ段階を踏みながら業務プロセスを変えていくことが重要ということですね。
水原:当初、一部の営業員に「ベルフェイスは使えないよ」という声がありました。よく話を聞いてみると、活用されないのにはプロセス課題や、各人の思い込みに問題があることに気が付きました。現場の話をしっかり聞いて、どこに問題があるのかを見極めながら進めていくことが重要だと思っています。株には株のご提案の方法がありますし、投資信託には投資信託のご提案の方法があります。投資を楽しみたいというお客様も一定数いらっしゃる一方で、時間をかけて地道に資産形成をしていきたいというお客様には多くの資料が必要で、ご提案に時間もかかります。そのため従来の紙媒体ではご提案の均質性が保てません。やはりデジタルと紙媒体、両方あってしかるべきです。
小野:紙媒体には限界があります。冊子の資料は、売れ筋商品しか印刷されていません。あまり売れていない商品を提案する場合、営業員が個別に資料を印刷して持ち出す必要があります。たくさんの種類の紙媒体を持ち歩くのは重くて大変です。デジタル化すれば、いつでもどこでも何でも出せますので、効率化もペーパーレス化も進みますし、お客様に様々な商品をご提示できるメリットがあります。そういった価値をしっかり伝えて、使い分けができれば良いと思っています。
ベルフェイス利用については一定のガイドラインを用意しているのですか。
水原:「ベルフェイスを活用しましょう」とは常に伝えていて、そこにインセンティブを儲けているので、基本的な意識付けはできていますが、実際にはまだ使っていない営業員がいるのも事実としてあります。もちろん使い方が不慣れな者もいるでしょうし、投資を楽しみたいお客様を多く担当している者は、ベルフェイスを使う場面が少ないかもしれません。金融庁の市場ワーキンググループでも語られていますが、「2024年から電子交付が原則で、例外で紙も認める」と言っています。それはお客様が望まれるという前提があるので、対応しているお相手が電子化を望まない層であるならば、無理に進める必要はないというスタンスです。
ベルフェイス活用で商品提案の幅も広がった
ベルフェイスを導入後、ご認識されている成果や変化がございましたらお聞かせください。
小野:目論見書の電子交付については50%、約定商品の半分をベルフェイスの電子交付にすることが今の目標で、現在は約15%~20%まで伸びています。
星野:具体的な実績もあがっています。転勤などで遠方に引っ越されたお客様については、今までは電話と郵送による書類でのやりとりでしたが、ベルフェイスを利用することによって画面共有で商品を説明し、投資信託の成約までのタイムラグがなくなりました。また忙しく時間がない病院の先生とは、仕事中のパソコンを使ってやりとりをした案件もあります。電話とベルフェイス両方で面談してフォローしている案件も、一定数生まれています。やはり電子交付により、廃棄する書類の量が減ったのは大きな成果です。
商品提案の幅も広がりました。以前は紙媒体をカバンに入れて持ち歩く商品は3種類程度となり他の商品を提案できませんでした。ベルフェイスがあれば、すぐに提案、交付ができるようになり、お客様のニーズに合った商品提案ができることに繋がっています。
また目論見書については紙媒体中心の営業の際には持参していませんでしたが、ベルフェイスを使い商品を格納していることで、やはりタイムリーに情報を提供できていて、成約にもつながっています。
最後に、今後、ベルフェイスに期待したいことなどがございましたらお聞かせください。
星野:FDを実施するなか、様々な商品の提案の幅を広げていく必要があります。まだまだお客様の理解が不足している部分はありますが、お客様に寄り添い、タイムリーに情報を提供するためにはDXを推進していく必要があるのは間違いありません。ベルフェイスがさらに認知されていくことで、“ベルフェイスを使って当たり前”の世の中になっていくと、弊社もより安心できると考えています。
小野:電話を中心に展開ができた従来型の株の売買においては、あまり時間もかからずに件数をこなせます。しかし資産管理型では、1件あたりの時間がかかります。そうなると、弊社が掲げている“お客様本位”の業務を遂行し、より多くのお客様と接点を持つためには、何かを削らないといけません。ベルフェイスを活用すれば間違いなく効率化が図れ、移動時間が減ります。今は目論見書の電子交付のツールだと思っている営業員も多くいますが、実はお客様との接点を持つためのツールだということをしっかり理解してもらわなければと考えています。
お客様にもベルフェイスを受け入れていただくためには、目論見書の電子交付を入口にすれば、「今回、目論見書の交付はベルフェイスを使いますけれど、実はこれテレビ電話なんです。だから次回のアフターフォローは、ベルフェイスを使って面談しましょうね」と操作方法をご案内して意識付けをしておけば、次の面談での活用が可能になります。そのためにはさらなる周知とマインドセットが必要だと考えます。
水原:ひろぎん証券には現在、10万人以上のお客様とお取引きがございます。すべてのお客様とコンタクトが取れるにこしたことはありませんが、これは物理的に不可能です。
弊社は対面ビジネスが中心のビジネスモデルなので、極力、効率を考えながらお客様にコンタクトを取っていかざるを得ず、どうしても一部のお客様に限られてしまっています。
これからは、これまでコンタクトできていなかったお客様とも接点を持つ必要があると考えますので、やはり中長期的には非対面のビジネスを強化していく必要があります。ある一定のセグメントのお客様には非対面でご提案をしていくことになるのですが、それはネット系証券様とはまったく違うモデル、すなわち対面で関わりながらコールセンターでも
お客様にコンタクト、フォローアップをしていくスタイルになっていくと考えます。
コールセンターによるお客様とのコンタクトに注力するとなると、やはりツールが必要になります。そのツールこそが、ベルフェイスであると私は考えています。
先ほどの成功事例のなかにもありましたが、遠方のお客様にベルフェイスを活用できましたので、同様にコールセンターの担当者も、より多くのお客様にコンタクトが可能になります。今はまだ投資信託の目論見書の電子交付での活用に留まっていますが、今後も新たなシーンを模索しながら、積極的にベルフェイスを活用していければと考えています。