株式会社みずほ銀行
お客さまとの質の高いコミュニケーションの維持・関係構築に寄与 中小企業・個人事業主向け「リモート」営業組織での活用事例
記事掲載日:2023年07月18日
- 金融
- 1001名以上
- アウトバウンドセールス
- 顧客タッチ数の増加
- 働き方改革(場所・時間)
- 教育、研修効果
- 売上UP・商談数UP
2019年に、中小企業や個人事業主の顧客に向けたコミュニケーション強化のための組織「エンゲージメントオフィス」を立ち上げたみずほ銀行。日本社会の成長や自社にとって重要な数多くの顧客と、質を落とさずにリモート営業でコミュニケーションするために選んだのがベルフェイスでした。エンゲージメントオフィスの立ち上げに携わったリテール法人推進部 営業開発チーム 次長 吹上隆博様は、ベルフェイスの導入以降、営業経験の浅いメンバーへのノウハウ伝授や、これまで接点を作れていなかった顧客とのコミュニケーションに大いに役立っていると語ります。
吹上様と、エンゲージメントオフィスの営業現場で活躍する平山絢子様、白井瑛様にベルフェイス導入の経緯や、生まれている効果についてお話をお伺いしました。
日本社会の将来を担う中小企業をターゲットに、リモート営業部隊を新設
まず、みずほ銀行の特徴や業務内容を教えていただけますか。
吹上:当行の強みは国内外に豊富な拠点を有し、グループ企業を含めて多角的なサービスをご提案できる銀行として、法人や個人を問わず、非常に多くのお客さまにご利用いただいている点にあります。
私が所属するリテール法人推進部は、中小企業や個人事業主のお客さまに対し、マーケティングを通じて、リモート・非対面といった効果的効率的な方法で、各種提案やニーズ対応を行い、お客さまの成長支援・〈みずほ〉との取引基盤拡充を目指す部署です。このうち私は中小企業RM組織である「エンゲージメントオフィス」に係るビジネス企画、内部管理態勢の強化、営業企画の推進等を担っています。具体的には、お客さまにもっとみずほを便利に使っていただく、頼りにしていただくうえでどのようにコミュニケーションをすれば良いのか、どのような組織体制の在り方が最適なのかなどを日々検討・実行しています。そうしたエンゲージメントオフィスの強化を通じて、その先にいるお客さまの経営課題の解決や事業拡大に役立ち、「強く豊かな会社」になっていただければという思いです。なお、リテール法人推進部には私のような企画推進を行うチームと、実際に営業を行うメンバーが所属するチームがあります。
平山:私はエンゲージメント第三オフィスに所属し、営業未経験者を中心とした営業メンバーの育成担当をしています。
白井:私の所属はエンゲージメント第四オフィスで、リモート営業を担当しております。まだ現在の部署に異動してきてから1年未満で、以前は営業店で法人営業を担当していました。
中小企業や個人事業主にフォーカスした営業チームを有している銀行は珍しいような印象を受けます。
吹上:おっしゃる通り、まだそこまで一般的ではないかもしれません。エンゲージメントオフィスでコミュニケーションを取るお客さまは、今まさに成長中のスタートアップなど、これからの日本社会を担っていく企業も多くいらっしゃいます。そうした企業の皆様と接しながら成長の支援をすることで、日本社会がより良くなっていくはずですし、〈みずほ〉としても使命と捉えてしっかり向き合う必要性を感じています。
一方で、世の中にはたくさんの企業があり、さらに毎年多くの企業が設立されています。昨今は人手不足ということもあり、旧来の営業手法でその全ての企業をカバーするのは難しく、どうすればお客さまにとっても、当行にとってもサステナブルな形を実現できるか模索していました。
例えば、これまでであれば支店周辺のお客さまのところへ電車や自転車で伺ってきました。もちろん、お客さまの課題を知り、情報をご提供したりご提案したりするためには対面であることも重要です。しかし、地方の場合などでは、お客さまのところへ伺うだけで数時間を要することもあります。
昨今はリモート技術も進化してきています。活用すれば、より多くのお客さまと接点を持ちながら、経営課題に応えられるような組織ができるのではないかと考えました。こうした流れでリモート中心の営業組織「エンゲージメントオフィス」を3年ほど前から試験的に立ち上げ、2021年に本格拡大し、2022年には全国のお客さまをご担当するまでに至りました。
中小企業や個人事業主を顧客とした営業は、地方銀行や信用金庫などの「お家芸」とも呼べる領域に感じます。その中で、みずほ銀行の強みはどういう点にあるのでしょうか。
吹上:おっしゃる通り、地方銀行や信用金庫の各社様とやり取りしていて、特に困っていないというお客さまも多いと考えています。ただ、中には「新規ビジネスを立ち上げるにあたり、海外との取引を検討したい」であるとか、「特許を取得した商品のニーズがもっとあるはずなので全国ベースで商圏を拡大したい」といったニーズをお持ちのお客さまもいらっしゃいます。そうしたお客さまに対して、幅広い情報のご提供や、グループ企業を含めた多角的な商材のご提案をするなど、我々にも勝負できるフィールドはあると考えています。
平山:私が以前担当していた横浜エリアは、特に地元の地方銀行や信用金庫など、地域に根付いた金融機関が強い商圏でした。正直な話、各社とも「融資」だけではあまり差別化できる要素はないのですが、吹上が申し上げたように、我々ならではの情報提供や商材のご提案をすることで振り向いていただくケースも数多くありました。例えば横浜は海外取引の多いお客さまが多く、外為や通貨情報などのご提供が大きな強みになりましたし、事業承継などもグループ企業の信託銀行と連携することで引き合いが強い領域でしたね。
白井:私が担当している新宿や渋谷などは、設立から間もない企業やイノベーションを求められているお客さまが多く、迅速な情報提供などで非常に高い評価をいただいています。
利用ハードルの低さが魅力 「対面と変わらない心地良さ」
エンゲージメントオフィスでは、リモート営業にベルフェイスを活用されています。ツール選びはどのようになさったのでしょうか。
吹上:リモート営業のツールといっても、電話もあればメールもあります。今でも電話を使っているケースが非常に多いと感じています。
ただ、何が重要なのかを考えた際、「顔が見えること」がポイントだなと。やはり相手の顔が見えると安心感がありますよね。特に銀行は事業承継などのセンシティブなお話をすることもありますし、担当者の顔が見える、安心感がある、という点は非常に重要です。これまでは対面の営業を行っていたことなどもあり、そこからの連続性など踏まえてWeb商談ツールやリモート会議ツールが適しているのではないかと考えたのがきっかけです。
とはいえ、顔を見て話せるWeb商談ツールやリモート会議ツールには様々な種類があります。その中でベルフェイスを導入したポイントは「扱いやすさ」です。当行では、ベルフェイスのほかにも複数のリモート会議ツールを使用しており、お客さまのご要望に応じて、使い分けていますが、特にエンゲージメントオフィスは高齢な経営者のお客さまなど、あまりITツールの操作に慣れていない方もいらっしゃいます。ベルフェイスであれば、アプリのダウンロードなどをせず、電話からビデオ通話に移行できます。その手軽さ、敷居の低さは非常に魅力的でした。スムーズに、対面と変わらない心地良さをお客さまが体験できる。ここがポイントです。
特別にアプリなどをダウンロードしなくて良いのは確かに利便性が高いですよね。ただ、社内ではこれまでにないツールを使うことに対して抵抗感のあるメンバーもいたのではないでしょうか?
白井:確かに、最初は全員がベルフェイスを知っていたわけではないので、抵抗感のあったメンバーもいたと思います。ただ、非常に使いやすいことと、ベルフェイス側にも協力いただき、勉強会やデモ操作の機会をつくれたことで、徐々に浸透してきていると感じています。
吹上:エンゲージメントオフィスは新しい組織ということもあり、ナレッジを蓄積しながらベストプラクティス的にノウハウを横展開することを意識しています。ベルフェイスにサポートを仰ぎながら、一部のメンバーと効果的なスクリプトや話法、動画提案資料活用方法などを研究することも進めています。
白井:営業未経験者のみならず、これまで法人営業を経験してきたメンバーであっても、リモート営業をしたことがない人も多く、ノウハウが横展開されてきたときに積極的に取り入れていこうというムードもありますね。
比較的新しい組織というお話ですが、立ち上げの際にはどういった基準でメンバーを選ばれたのでしょうか。
吹上:非常に多様性がある組織です。もともと法人営業をやっていたメンバーもいれば、新しい領域にチャレンジしたいと自ら挙手してジョインしたメンバーも多数います。
例えば、昨今は銀行事務のデジタル化が進んでいます。これまでの定型業務などはどんどんネットバンキングなどに置き換わりつつあり、窓口業務も減少しています。そうした中、これまで事務で活躍していたメンバーが新たなキャリアへの挑戦として、エンゲージメントオフィスで営業職としてたくさん活躍しています。
営業未経験メンバーの育成に効果 接点の少ないお客さまとの関係構築にも
ベルフェイスを導入してから、どんな効果が生まれていますか?
平山:我々銀行にとってのメイン業務は「融資」です。ここで良い効果が生まれています。2022年の実績ですと、エンゲージメントオフィスでは貸し出しの取引がなくなってしまうお客さまの半分以上から、新たなお借入れのご要望をいただくことができました。また、これまで預金口座しかお持ちでなかったお客さまに対し、新たにお借入れのご要望をいただいたり、外為取引を始めていただいたりといったケースも出ています。
白井:たくさんのお客さまと会話できるのがやはり大きいですね。数多くのお客さまとコミュニケーションをとれるようになりました。そうした中で、平山がお話ししたように、預金だけのお取引だったところを貸し出しにつなげられたり、売り上げが数億円規模で成長していらっしゃるお客さまと新たに取引を開始できたりといったこともありました。
平山:エンゲージメントオフィスではじめて営業に挑戦するメンバーの育成にも非常に役立っています。従来であれば、お客さまのところへ一緒に行かなければ営業のノウハウを伝授することはなかなかできませんでした。ベルフェイスでリモート化したことで、面談に同席しやすくなり、経験者のノウハウを共有しやすくなりました。提案書のフォーマットをベルフェイスに保存できるので、面談に同席して、シチュエーションに適した書類を共有しながらメンバーの「引き出し」を増やせていると感じています。
吹上:何十年も銀行員として活躍してきたメンバーの「見えないノウハウ」が、ベルフェイスによって可視化され、周囲に広がっていくことはとても大きいですね。
今後、ベルフェイスで実現したいことや期待していることはありますか?
吹上:女性が多い職場でもあるので、多様な働き方を一層促進できる環境にしていきたいです。会社としても出産や育児と両立できる多様な働き方を推進している中、在宅も交えながら多様な働き方を実現したいですね。従業員の働き甲斐を高めつつ、デジタルツール等を駆使しながら、従来以上にお客さまに寄り添い経営課題をともに解決していく、そうした世界をもっと実現したいと考えております。
白井:日々使っている中で、使い勝手の不満はありません。非常に多くの活用方法があると感じているので、企画部署と連携しながら、お客さまにとって見やすいツールとして、さらに使い込みながら磨きをかけていきたいと考えています。
平山:私も使い勝手に不満はありません。まだまだ営業組織として新しいので、営業未経験だったメンバーを中心にスキルを底上げして、チームとして成果を出せるようにしていきたいですね。
吹上:営業企画サイドとしては、成功体験の共有も推し進めたいと考えています。まだメンバーの中には「ベルフェイスをあまり活用できていない」という声もあります。そうしたメンバーに対して、お客さまに対して非常に効果的なツールであることや、使い勝手が高いことを具体例等も通じて示していければと思います。エンゲージメントオフィスには全部で6つの営業組織があります。それぞれが似たような業務特性なので、ノウハウがタコツボ化しやすい従来の支店よりも横展開をしやすく、この点を活かしたいです。企画と営業の距離感が近いのもメリットだと捉えています。
具体的には、現場のメンバーから課題感を吸い上げながら、解決方法を一緒に練っていきたいですね。まだまだ銀行として持っているお客さまの情報を活かしきれていません。ベルフェイスの活用を通じて、データ活用やお客さまとのコミュニケーションとブラッシュアップしていきたいです。その結果として、お客さまにもより支持頂き、お客さまの成長に貢献していきたいと思います。